エネルギー問題と環境問題を共に解決できる技術として、がぜん注目を集めるようになった燃料電池。これは水素と酸素の化学反応でエネルギーを作り出し、排出されるのは熱と水だけというクリーンなエネルギー源だ。特に、化石燃料からの脱却と排気ガスによる大気汚染の防止という大きな課題を抱えている自動車メーカーは、生き残りをかけ燃料電池の開発に必死だ。 本書は、近い将来エネルギーの中核を担うと考えられる燃料電池にいち早く注目し、ダイムラー・クライスラーをはじめ世界中のそうそうたる大企業を相手にビジネスを展開するベンチャー企業「バラード・パワー・システムズ」の成長の軌跡をつづったものである。研究・開発の資金集めに走り回る創業者たちの姿や、同社のビジネスを快く思わない自動車業界やエネルギー業界との戦い、経営方針を巡る創業者と新経営陣との対立などが豊富な取材から生々しく描かれている。 中でも感心させられるのが、バラード社の名前にもなっている創業者の1人、ジェフリー・バラードの起業家精神だ。彼が廃墟同然のモーテルを改装し、今日のバラード社の前身である研究所を作ったのが1975年。その後、一貫して燃料電池の実用化に全身全霊を傾けてきた。バラードの「人と違ったことを信じているなら、あえて違う道を行きなさい」という言葉が印象的だ。 起業を目指す、若い人たちに読んでもらいたい1冊だ。(北国岩魚)
エンジニア以外の人にもオススメ
「燃料電池」と聞くと、難しい科学技術的な話だと考えがちですが、この本では専門知識は殆ど要求されません。水素と酸素が反応すれば水ができる、というシンプルな内容だからです。難解な用語・話は極力避けて、わかりやすい人間ドラマのように仕上げた、非常に優れたノンフィクション作品です。ベンチャーを興そうと考えている人や、燃料電池に興味がある人のみならず、優れたノンフィクション作品を読みたいと思っている人にも薦めたい1冊です。
20015年車は変わる!?
この本はクリーンエネルギーである水素を基盤とした技術開発に取り組んだ、カナダの片田舎バンクーバーのバラード・パワー・システムの開発物語が書いてあります。この本を読むと水素利用の可能性とクリーンエネルギーへの移行が現実のものになりつつあり近い将来必ず車は新しいエンジン(燃料電池)になるとが確信できます。この物語は技術者にはとてもおもしろと思うのでぜひお勧めしたい一冊です。
翔泳社
燃料電池ビジネスの本命“住宅市場”を狙え! (B&Tブックス) 図解入門 よくわかる最新燃料電池の基本と動向 (How‐nual Visual Guide Book) 水素は石油に代われるか 図解・水素エネルギー最前線 解説・燃料電池システム
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